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正解じゃないと怖い

丸の内サディステックにはなりたくなくて

去年の暮れ頃、とてつもなくどうしようもない田舎を出て東京に引っ越してきました。

 その頃、高校生の時から使っているiPod touch椎名林檎の「丸の内サディステック」「歌舞伎町の女王」、あとR指定の「ラストレイン」をムチャクチャ聴き倒していました。特に新宿に行く時とか。ミーハーで可愛らしいですね。全く私は可愛い。

 

 小田急線も山手線も丸の内線も、新宿駅東口も終電で帰る池袋も全部実在してて手の届く世界であることがとても不思議に感じていました。

 でも実際、東京に一年暮らして、私の暮らしは丸の内サディステックみたいで。

警官ごっこ始めたら完成です。東京に来た田舎娘のステレオタイプなのです、多分あの歌は。

 

 上京して直ぐ、トーキョーの遊び方も何も知らないので、Amazon Primeで『ティファニーで朝食を』の再鑑賞をしました。

一度めに観た時は途轍もないど田舎に閉じ込められている様な気持ちを抱えてこの映画を見たので「は、なんや意味わからんわ。」と思いながら流し見してしまいました。

 

 対して東京での鑑賞は、彼女が田舎の鎖を捨てて、都会で華やかさを表層に纏うことに憧れ溺れるような様に、ちょっぴりシンパシーを感じました。

けれども彼女は、ゴージャスではなく純朴で、でも田舎の鎖とも違う、新たな幸福を見つけ選び取ります。雨の中で子猫を抱え、すてきな人とのラストシーン。

長く続くものなのかは私には分かりません。そうであって欲しい、と、その時の私は願いました。今も同じ気持ちだよ。

 

 東京には、いつも飲み込まれそうです。もともと社会に適合している方ではないのでもうより一層、全部を失って銀座の警官になってしまいそうです。

それでも、雨の中で子猫を見つけられる日を夢見て明日も満員電車に揺られます。

あゝ、荒野